今日は雨は大丈夫そうだ!と愛車を磨き上げて出かけた日曜日。
葉山までの一路、第3京浜であっけなくドシャ降りの雨に遭遇。
でもまた走っているうちに雨も上がり、曇天のままの一日となりました。
朝、NHK「日曜美術館」を見ていたら「アルベルト・ジャコメッティ」の彫刻についてやっていました。ジャコメッティは以前から好きだったので、テレビの解説に頷きながら見入っていましたところ、神奈川県立近代美術館
「葉山館」でジャコメッティ展を開催しているとのことで出かけることとなりました。テレビで新たにジャコメッティ彫刻の見方、感じ方を自分なりに学べましたので、実際の彫刻をぜひ感じてみようと出かけたわけです。
とはいうものの、まずは腹ごしらえということで、葉山に着いてから美術館レストラン「オランジュ・ブルー」でランチしました。満員でしたが40分我慢強く待ち続けたところ、案内された席が一番見晴しの良いテーブルだったのでまず満足。ゆっくりとお料理を堪能してから、ジャコメッティ展に入場となりました。

「オランジュ・ブルー」から海を臨む。風も強く、波も荒立たしく。

海を見ながらこんな感じのランチ。「葉山牛の煮込み」
今回は「アルベルト・ジャコメッティ―矢内原伊作とともに」という
展覧会でした。
フランスにおいて、哲学者・矢内原伊作が自らジャコメッテイのモデルとなり、ジャコメッティは彫刻家として矢内原を自分の前に座らせてデッサンを繰り返し、矢内原はジャコメッティの前で人間観察をしつつ、お互いの深い人間関係、信頼関係を築き上げっていったのです。その作品完成までには延べ230日を要したといいます。ジャコメッティ自身、深い絆が出来上がった人でないとモデルにしなかったと謂われています。

展覧会冊子の表紙
ジャコメッティの芸術ポリシーは「見えるものを見えるとおりに表わす」という明解なものでした。
彫刻はその置かれる空間のまわりに新たな空間を生み出し、特にジャコメッティは彫刻との距離の間に存在する空間というものを意識した彫刻家でした。絵画においてもそのほとんどが正面からの姿を描かれ、彫刻においても正面と向き合うことで自分と彫刻との距離感が認識され、どのようにジャコメッティの頭の中にその人物が見えたのか想像することが、今回の展覧会で実感できるのです。私もまず正面に立って見つめ続け、ぐるーっとそのまわりを廻ってからもう一度正面に立つことを繰り返してみました。そうしてるうちに何となくですが、彫刻の距離感、つまり目は引っ込んでいて、鼻が飛び出ている、ほおは少し出っ張って、あごも突き出ているなどと、自分の目で見つめることによって、ジャコメッティが製作していたプロセスで感じていたであろう気持ちに近づいてくるものなのです。生意気かも知れませんが、ちょっとだけそんな気分になりました。
特に空間と距離感は建築においてもとても大切なもので、今回のジャコメッティの彫刻があらためてそれらを認識させてくれた感じがします。
なかなか言葉で表現することの難しい世界ですが、なによりも実際の彫刻と対峙してみて、感じてみるといいと思います。感じ方は自由です。そこが彫刻や絵画の自由でおもしろいところですから。
一度、ジャコメッティの彫刻の<真正面>に立って感じてみて下さい。

美術館駐車場にて、山を背景に<真正面>にアングルを構えてみました。
MASERATIをマルチェロ・ガンディーニの彫刻と見立てて‥‥。