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ホーム > アーカイブ - 2007年05月

ちょっと横須賀まで

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横須賀美術館

目の前は日本における航海の難所とされる浦賀水道。ひっきりなしに大型のタンカーやフェりー、そしてプレジャーボートが右から左からひっきりなしに行き交っている。
そんな海と対峙して、先月オープンしたばかりの山本理顕設計の「横須賀美術館」は建っている。

美術館は緩い丘の上にあり、正面には海、残りの三方は山に囲まれている。ゆっくりと広い芝庭を横目にアプローチする。低く押さえられた建築は宝石箱のようなガラス建築。ガラスの中の、孔のあいた薄膜で包まれた空間が展示スペースとなっている。展示の空間もメリハリが効いていてなかなかいい感じ。

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ロケーション(美術館HPより)

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アプローチを振返るとそこは海。浦賀水道

そんな中でオープン記念企画展「生きる展」が開催されている。9人のア-ティスト達が自分の感性で「生きる」について表現している。どれも現代アートでその表現方法がユニークであった。途中から前をいくおばあちゃん2人の作品批評が面白くて、あとをついていった。「あ゛~、なんだい、これは!」「ひゃ~こりゃ、気持ち悪いねぇ~!」「これはファスナーかい?」とか言いつつ作品にさわってしまう始末。でも何かを感じとって帰ったことだろう。(笑)

この美術館、観音崎がすぐ近くということもあって、ヴィジタ-が様々だ。前述したお年寄りなども多い、カップルも多い、建築系の人?も多い、子連れのファミリーも多い。いろんな人たちがいろんな芸術に触れあうのはいいことだ。
テラスでランチをしているとピヨピヨと一定リズムの音がする。すると麦わら帽子をかぶった青いプラスチックバケツをぶら下げた両親が子供の手を引いている。その子供のサンダルからあの音がするではないか。そのままファミリーは美術館の中へと消えてゆく。展示室でもピヨピヨと音を鳴り響かせていたのだろうか?

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美術館エントランスホール。館内撮影許可をいただけなかったので館外からの撮影
ガラス屋根を通して柔らかな自然光がはいってくる天井の丸い孔


さてこの美術館、車をパーキングに入れた瞬間からどうもしっくりこない気持ちを最後まで拭い去ることができなかった。いったい何だろう?。

■ひとつはアプローチ動線。海からまっすぐ美術館にのぼっていく感じはとてもいい。でも入口が判らない!。しかもレストランの真ん前を通らなくてはいけないのだ。美術館でアートを観賞する前に、ペペロンチーノの香りを嗅いでからアプロ-チするのはいかがなものか?。

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レストランの前を通って美術館にアプローチ。右手が美術館エントランス

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この状態でエントランスを認識するのは至難の技。人の流れについてゆくしかない?

■もうひとつ、丘を利用しているので駐車場は地下にある。私としてはこの暑い時期、とても地下パーキングはありがたい。しかしまたもや葉山の美術館と同じく駐車券が取りにくい。しかも駐車スペ-ス1台分の巾が狭くドアパンチが恐い!。どうもこのあたりから私のしっくり感が狂っていったようだ。

■もうひとつ、これが一番の問題だが、どうも運営ソフトと建築ハードの噛み合いが良くないのだ。せっかくの山本理顕氏のすばらしい建築空間が運営でうまく活用されていない印象を受けた。受付の後ろの雑然とした汚さ。そこまでしなくてもいいだろうと思うくらい無造作に置かれた案内サインボード。アート鑑賞どころではないくらい私の気は散ってしまう。運営母体の問題か館長の意識レベルの問題なのか?。

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レストランではゆったりと(できるのだが‥‥)

■最後はやっぱりレストラン。あれだけのローケーションに恵まれていれば美術館と分離されていても運営が成り立つはずだ。ホスピタリティーはイマイチ。せっかく独立してお食事だけでも楽しめるようになっている計画。もっといいおもてなしで運営していけば、昼夜問わずヴィジターが増えること間違いないと思う。夕景の浦賀水道を通り通り過ぎてゆく客船などを目の前にして、美味しいワインとイタリアンをいただけたらどんなにロマンチックなことだろう。

まだ駆け出しの美術館であったが、その恵まれた環境、建築を活かしつつ、いつまでもヴィジターに親しまれる美術館に成長していく姿をこれからも見守っていきたい。
いろいろクリティカルに書いたが、美術館への熱いエールと思っていただければ幸いである。

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展望室からの眺め。ガラスの屋根から続く浦賀水道。建築家の意図がわかりやすい!

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美術館別棟として「谷内六郎館」がある。文藝春秋の表紙でもお馴染みの画家。
この美術館のそばにアトリエを構え創作活動をしていた。とても好感の持てる作品がいっぱい!

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[ 2007/05/28 15:10 ] 展覧会・音楽会 | TB(0) | CM(16)