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ホーム > アーカイブ - 2011年05月

『仏の発見』


尊敬する哲学者・梅原猛氏と、作家・五木寛之氏のふたりによる対談集です。
このふたりに『仏ー仏教』を通していろんなことを語らせれば、間違いなくその内容は面白いものになると確信して読み始めた訳です。

ふたりの問答は『仏教』を基軸として、いろんな話題をいろんな方向に向かわせ、見事の一言!。歴史、文化、小説、作家、芸術家、とにかく話題に事欠かない知識の豊富さ、感性の豊かさ溢れる内容には驚かされます。

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さて対談はテンポ良く進みますが、法然を師と仰ぐ「親鸞」、そして浄土往生思想を説く「浄土真宗」を中心に話を弾ませます。『神は在るもの、仏は成るもの』。生きているうちに仏になることを目指す仏教世界を優しく話し合っていきますが、話題は脇道に進んだりするのも興味深いところ(笑)。途中川端康成の知られざる行動、性格、性癖にも話が及びますが、ふたりして川端のことを「魔界の住人」「書く内容は官能的小説で異常」と批評しているのも面白い一面です。川端作品も視点を変え「伊豆の踊り子」から再読が必要かな?(笑)。

幾度となく話が逸れても、しっかりと話を仏教に戻し続ける大御所ふたり。かつての日本の神仏は仲良く共存していました。神仏習合ですね。しかし明治に入って日本は神仏殺して「近代化」を成就することになります。ふたりはそこで「神殺しの文明=日本文明」と位置づけます。どうやらソコを批判することから、これからの日本文明を建て直そう!と考えているのです。
かつては縄文からの文化の影響として「草木国土悉皆成仏」という天台本覚思想を産み出しました。生きとし生けるもの全てに仏性があると説いたのです。最澄に至っては「木石仏性」まで追求しました。その日本人の感性たるや世界に誇れるものでしょうね。やはり日本人の心の何処かに、神や仏が存在しないことには、日本の明日未来はないということでしょう、、、

プラトン哲学から派生した人間中心主義の限界をふたりは指摘し、これからの人類生存の鍵が「人間中心主義の否定」から始まることも断言しているのに共感できます。科学を過信し人間万能主義と奢り高ぶっていた矢先の原発事故もこの例のひとつと言ってもいいでしょう。
梅原猛氏は東北大震災の復興構想会議の特別顧問にも就任されました。僕は大歓迎してます!。彼の哲学、思想をしっかりと主張していただき、日本再生に向かってしっかりと盛り込んでもらいたいと願うばかりです。

近年『親鸞』を書き上げた五木寛之、そしてこれから哲学者として仏教を基軸とした集大成哲学書を書き上げようとしている梅原猛。この本はそのふたりが仏教の域を超越して、日本人としての生き方を示唆してくれる貴重な本としてまとめられています。大きな字で読みやすい本なので、お時間ある方ない方、ぜひどうぞ!(笑)

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[ 2011/05/26 10:21 ] | TB(0) | CM(4)